長編になってしまいましたが、今回で最後です。
今回は、新規制基準がちゃんとした規制になっているかを、
これまでに調査した福島第一の以下の知見を考慮しているか見てみます。

知見①:全電源喪失から数時間でメルトダウン
知見②:スクラム直後の高温・高圧状態用の冷却は全電源喪失時でも可能か?
知見③:冷却手順の試験や訓練は適切か?

まず、現在国内で唯一稼働している九州電力の川内原発の原子力規制委員会の
審査結果は以下に公開されています。

https://www.nsr.go.jp/data/000087528.pdf

この中の7ページに以下が有ります。
川内001a


福島第一事故からの教訓とありますが、ECCSや私の知見①②については何も書いてありません
ただ、「冷やす」ための対策(炉心損傷防止対策)①②③には、盛りだくさんの対策が書いてあります。
例えば、以下は有効そうです。
・既設の設備(余熱除去系ポンプ2台+高圧注入系ポンプ3台)による原子炉への注水
・新設のポンプにより原子炉へ注水バックアップポンプも準備

しかし、これらがECCSと同様に起動後に電源喪失しても稼働できるのかは不明でした。
また、スクラム後の何時の時点で稼働するかも不明でした。
出来れば、スクラム直後の冷却方法と手順を時間軸で示したものと、
その結果をシミュレーションで示した図が欲しいですね。


次に、最近審査結果が公開された関西電力の高浜原発です。

https://www.nsr.go.jp/data/000148305.pdf

この中の32ページに以下が有ります。
川内002b


この中のグラフを拡大したのが以下です。

川内002a


これこそ私が求めていた資料なんですが、これを見て2つの驚きが有りました。
①約9分後に炉心露出しています。
②約14分後に730°に達してます。

なんと、分単位だったんですねえ。
これでは、手動では間に合わず、自動注水しておくしかないように思います。
全電源が喪失した際に、周辺で寝ている人をおこして、電源車を持って来て・・・・
っていう手順では、全然間に合わないのじゃないですか????


<まとめ>
以上見てきましたが、新基準には私が期待した、きめの細かさが無いように思います。
スクラム直後の高温高圧状態から低温低圧状態に、どうやって持って行くのでしょうか。
そこの手順を時間軸に沿って、示してほしいと思います。
その際には、被災状態を色々と横軸に振っておいて、当該の手順が実行可能かどうかを
マトリックスで網羅的に検証して欲しいと思います。(事故対策検討時の王道です)


新規制基準の説明文には、以下の文言が有りますので、継続的な改善を強く望みます。

『この新規制基準は原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものです。
 しかし、これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません 。
 原子力の安全には終わりはなく、常により高いレベルのものを目指し続けていく必要があります。』



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 2016_04_30


前回は、事故対策が迷走していることを示しました。
では、どうしたら良かったのでしょうか?

まず、事故原因も含めてECCSのHPCIの問題点を以下に整理します。
①配管破断のリスクがある(配管形状が原因?)
②高温から低温への熱ショックで原子炉が痛む(HPCIの元々の設計問題)
 浜岡原発では、定期試験は1ヶ月毎に実施していたそうなので、
 これは結構寿命に影響すると思います。
③中性子で鉄はガラス化する(設計寿命を考えて分厚くしているはず)

素直に対策しようと思えば、以下あたりかなと思います。
①は迷走の根本原因ですが、ちゃんと対策すれば問題無いはずです。
 対策が完了するまでは、浜岡原発ではHPCIが2重系になっているので、
 片方ずつ定期試験して、その間にもう片方の配管の水素をクリーニングする事も
 出来たはずです。
②余熱を使って注入する水を温めるような改良をすれば良いと思います。
③設計寿命を順守すると同時に、X線等で劣化状態を見極めれば良いはず。
 
しかし、安全を軽視して装置延命(=運用経費を下げる)を考えると、
①②HPCIを削除、配管も削除
となりそうですね。というか実際そうなった。
そして福島第1においては、②を気にしてECCS起動するのを止めたのでしょう。

そもそも、当時の関係者がHPCIの機能をどこまで理解していたのか怪しいと思います。
かなり以前のシミュレーションでも、全電源喪失から2~4時間でメルトダウンすることが
分かっていたそうですが、それを知っていたのかどうかも怪しい。

普通の組織ならば、原子炉の冷却方法は、色々考えられるはずです。
HPCIに問題が多いなら、根本的に改善して、磨き上げれば良かったはずです。

それができなかったのは、関係する官僚・電力会社・原発メーカー・学者たち(原子力村)の
「本来は危険な原発」への慢心・不勉強が、真の原因ではないかと思うのです。
そういう環境下では良案など浮かばないし、浮かんで提案しても採用されないと思うのです。


次回は、現在の新規制が、ちゃんとした規制になっているかを確認して終わりにします。




 2016_04_29


前回は、何らかの事情で運用規定が途中で変更されたらしい事を記述しました。
それのキッカケが、浜岡原発の事故らしいことは時系列で考えれば予想が付きます。

まず、事故を起こした中部電力の浜岡原発の対策を見てみましょう。
とはいえ、以下の記事から先のリンクが見れませんでした。

「週刊文春」2011年6月9日号 福島原発「内部文書」入手!非常時冷却システムを撤去した勝俣会長

組織がなくなったとはいえ削除するとは、よほど後ろめたい資料なんですね。
(それにしても、ここでは文春が良い仕事してるなあ)
そこで、引用文に残っている以下のURLから推定します。

8年前に外されたのは本当に「最後の砦」だったのか。 [その他もろもろ]

この中に、以下の記述がありました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーここから
中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機における配管破断事故について(最終報告書)
この事故報告書で再発防止策に触れた54ページ、項目7.2「余熱除去系蒸気凝縮系配管に対する措置」に、
こういう記述があります。

>蒸気凝縮系はこれまで運転実績がないこと、当該系統を用いなくても主蒸気逃がし安全弁及び
原子炉隔離時冷却系によって原子炉の崩壊熱の除去が可能であること、また最近のプラントでは設置されて
いないこと、さらにはリスク評価により蒸気凝縮系を設置している場合と撤去した場合にリスクが、
ほぼ同等であるという結果が得られていることから、当院としては、事業者が再発防止対策として当該機の
余熱除去系蒸気凝縮系配管を撤去することは妥当なものと判断する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーここまで

つまり、「安全装置で事故が起きたから、安全のために、安全装置を撤去してもいいよ。」ということ??
なんという事でしょうか!!
「リスクがほぼ同等」が、まったくでたらめなのは、福島の事故が証明しています。
さすがに、そのまま長時間の電源喪失では冷却能力不足になると思った人がいるのでしょう。
これを補強するために、あの「外部停電喪失は最悪30分」神話が構築され、
後に文書化されたと推定します。

ところで、福島第1の3号機はECCSが起動していたって、皆さん知っていましたか?
(でも、それを誤操作で止めてしまったらしいのですが・・・)
つまり、福島第一ではECCSは撤去していなかったと思われます。

しかし、運用手順は変更されていてECCS起動せずに、まずIC/RCICで冷却する様に
なっていたと考えられます。
そして、1~3号機で本当にECCSを起動したいと思った時に、必要な直流電源が喪失
していて、起動できなかったのです。


これは、運用手順の改悪としか言い様が無いでしょう。
電源が有るうちに起動しておけば、あとは自力で発電して動けたはずですから。



 2016_04_25


まず、本の記述を中心に事故発生時の問題点を簡単に整理します。

最初は、原発建設当初の設計思想についてです。
ECCSのHPCIは、原発がスクラムして停止した直後の冷却を目的としています。
米国NRCでは、スクラム後にECCSとRCICを同時起動する運用規定で、
最初はECCSのHPCIで冷却し、低圧になったらRCICに引き継ぎます。
福島第1でも、1979まではECCS運用訓練の記録があります。

では、何故あの時、使用しなかったのでしょうか?
本では、運用規定が途中で変更されたらしい事を指摘しています。
ここからの本の内容は、買って読んでくださいね。


私は本の指摘はほぼ当たっていると思うのですが、著者の思想は
「最初の規定を何故、使わなくしてしまったのか。それを
やっていれば、事故は起きなかったのに。」に見えまして、
そこは違和感を覚えました。

私には、①運用を変更した理由の深堀が足りて無いように見えますし、
②憲法論議の様な「変更はまかりならん」的な印象を受けました。
これは、私の誤解かもしれませんが、①②についての私の持論は
「悪かったら直して走り続ける」なので、しょうが無いかもしれないです。

さて、ここからは私が調べたWeb情報などをミックスして運用を変更した
理由の深堀りを行います。
Webによく登場するのは、2001年の浜岡原発で発生したECCS作動試験中の
蒸気圧縮系の配管破断(配管内で水素爆発が起きた)事故です。
原因は、配管形状が間違っていた?ために水素が溜まる構造になっていた様ですが、
この浜岡原発での対策が迷走していくように思います。

下図は、以下のURLを参照しました。
浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故 (02-07-02-19)

Hamaoka001.gif
Hamaoka002.gif

下図は、以下のURLを参照しました。
浜岡原発事故の警鐘

浜岡3

浜岡4


 2016_04_24


ここで、自分には関係ないと思う方は、以下の地図を見てください。

柏崎000

これは、東京圏に一番近い柏崎刈羽原発からの距離で、内側の円は30Km
外側の円は5倍の150Kmです。
購入した本に書いてありましたが、避難指示が30Kmなら、避難指示は高濃度汚染地区
に出るわけですから、そうじゃない汚染地区はもっと大きくて、約5倍になるらしい。
そして、福島第一の様に格納容器が壊れた際には、被害範囲は大きくて、
この円の範囲になります。
この範囲から非難したり、この範囲が立ち入り禁止になることなど想像できないのですが、
柏崎刈羽原発には7基の原発が有るので福島との類似点は多いのです。

ちなみに、福井県の原発でこの範囲ですと、琵琶湖が汚染されます。
また、格納容器内の放射能が全部拡散したら、拡散範囲は半径1000Kmだそうです。
日本は終わります。
ちょっとだけでも関心持てましたでしょうか?




 2016_04_23


題記の本を、Amazonのなかで偶然発見したので読んでみました。

fukusima000.jpg


私が注目したのは、
 ①本の帯の「主力の緊急炉心冷却装置はなぜ使われなかったのか」
 ②発売直後なのに在庫ゼロ
の2点でした。
特に①に関しては、事故調査委員会報告では???だったところが、
納得いきました。
しかし、読んで1週間もすると、それは著者(元新聞記者)の視点であって
エンジニアの視点では少し違うと感じるようになりました。

なので、それについて書いてみたいと思います。
最初に断っておきますが、私は原発反対論者ではありません。
安全に制御できるならば使って構わないと思うのですが、
どうも怪しい感じがしていました。
この本を読んで、その思いは強まりました。

まず、著者が調べ上げた事実+私の理解を簡単に記述すると、
緊急炉心冷却装置(以後ECCSと呼ぶ)には以下のものがあります。
①高圧注水系(HPCI)
②低圧注水系(LPC)
③格納容器スプレイ系
④自動減圧系(ADS)

上記の①が本命のもので、
②は原子炉が低圧になって交流電源も無いと使えない
③は炉心を冷やすものでは無い
④は圧力調整であって冷却ではない
つまり、緊急時には、まず①を使うという想定です。

しかしながら、事故調の報告書に出てくるのは、
非常用復水器IC(1号機)、原子炉隔離時冷却系RCIC(2-3号機)であって、
ECCSに比べると、はるかに冷却性能が劣るらしい。
では、何故ECCS(上記の①)を使わなかったかというと・・・
というのが本のストーリーです。


しかし、色々調べるとですね・・・色々な事情が見えてくるんです。
重要な分岐点で、大きな判断ミスをしたのは何故なのかを考えて見たいのです。
そして、現在の新基準の中に、それらの対策が入っているのかどうかを確認します。



 2016_04_22


先日の定例会で、山田副会長の退任(4/22修正)が報告されました。
(親御さんの介護とお仕事による多忙らしいです?)
私の投稿原稿は、ほとんど山田福会長に校正して頂いており、
会誌・会報からも離れるそうなので、とてもショックなことです。
以前、このブログで報告した予定にも狂いが出てきそうです。

まず、下記①の校正は途中で止まっていた様で、再度校正して送りました。
②の方もずいぶん前に校正して送り返しましたが、次々号は全体的に原稿が集まって
いないようです。
③は、次々々号用に先日送った新作(続編)ですが、載るのかさえも不明です。
 ①お披露目鉱物展の準備記録(5頁)
 ②鉱物結晶図鑑出版記(7頁)
 ③万華鏡の様に見える水晶(その2)

予定通りだったなら、①は次の28号、②は29号、③は30号に
掲載になるのですが、次号すらいつ発行なのか分からない様です。
したがって、以下の2本の執筆は中止しました。
 ④3Dスキャナーを使用した面角測定について (6頁)
 ⑤ダイアモンドのブリリアンカットの結晶図(8頁)


発表の場が無い=会に入っている価値が半減してしまうので、
私にとっては非常に困った事態です。
鉱物同志会は退会して、他の会に入ることを真剣に考えだしました。
益富さんは遠いので定例会には参加できませんし、あれやこれやで
今のところ良い会が見つかりません。



 2016_04_17


かなり前に募集したのですが、先日応募がありました。
私の石仲間には、この趣旨に近い活動をされている方が数人おりますが、
それはカウント外なので、これでやっと複数形になりました。

以前にも書きましたが、お互いに刺激しあうのがメインなので、
何かの義務がある分けではないのです。
その方なりの目標に向けて進んでいければ良いと思います。

でもって、私ですが、ここ1ヶ月は、鉱物同志会の写真集の委員に
なっていまして、色々とやったのですが、訳有って委員を辞退しました。
これのいきさつを話すことはないでしょう。

という事で、やろうとしていた、IMAの2016年の鉱物Listの情報を
DBに取り込む準備を始めました。
とりあえず、以下からPDFをDLして、EXCEL変換し、必要部のみを残し
http://nrmima.nrm.se//imalist.htm

それをCSV形式にして、Winmergeという差分検出ソフトで、
前回版(2014)との差分を整理しています。

この情報から差分だけを、マスタのEXCELファイルに入れて、
これを・・・・(とっても長いので省略します)・・・・して、
最終的にMDBファイルを作成します。


それで・・・・差分ですが、以下のようなイメージになります。

IMA_sabun.jpg

左のバーの色付き部が差があるところで、先頭の3本が右半分です。
一部修正も入れて数百か所はありますね。
全体が約5000種しか無いのに結構な量です。
2年間更新をサボると、こんなになるのだろうか???

ちなみに、この差分を単純コピーして終わりではありません。
鉱物名、化学式他の情報を吟味し、他の不足情報をWebから探し出し、
信頼できそうなものだけを取り込みます。
なので、他の人にお願い出来るレベルではないのです。

ただ、例の写真ファイル名変換と同様に、ひたすら地道な作業ではあります。
(写真ファイル名変換作業は、石友達のOさんにお願いしています。ありがたい。)



 2016_04_16


最近、3.11がらみの番組を見ていてショックなことが・・・・

まず、NHKの福島原発事故の番組で、全電源喪失から4時間でメルトダウン
したことが伝えられました。
当然ながら、どの原発でもメルトダウンは設計の想定外の事象なので、
その後のバルブ制御が設計通りできるのか分からないと思います。
そうすると、ベントがちゃんとできるかどうかも怪しいです。
4時間では逃げる暇などなくて、炉心爆発のリスクも高いとなると、近くに住んでいる人は
どうしたら良いのでしょう。自分の実家は30Km圏内なので、他人事ではないのです。
当然ながら、全電源喪失にはならない様な対策、なっても短時間で復旧する対策が
講じられているはずですが、想定外の事は良くある話です。
<追加>
気になって、以下の新基準の概要を読んでみました。
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/shin_kisei_kijyun.html

やはり、時間的な基準が見当たりませんでした。
メルトダウンが4時間という事は、半分の2時間で復旧しないと、一部の燃料棒が
溶けかかっていそうな気がします。
しかし、深夜に事故が起きたら、人員確保ができるのでしょうか?
上記のURLには、以下の文言が有りますので、是非とも改善をしてほしいと思います。

「この新規制基準は原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものです。
しかし、これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません 。
原子力の安全には終わりはなく、常により高いレベルのものを目指し続けていく必要があります。」



2つ目は、昨日の情熱大陸で出演された、稲垣えみ子氏の以下の言葉です。

「得ること、拡大することばかりを考えて生きてきました。
 でも平均寿命の半分を過ぎた頃から、
 来るべき死に向かい、閉じていくこと、
 手放すことを身につけていかねばと思うようになりました。
 大変なギアチェンジです。」

この考え方は、3.11の後の節電体験が元で、TVに出るほどの節電マニア
になってしまう過程で思ったことだそうです。(すごいギアチェンジ)

私は・・・・、まだギアチェンジできないです。



 2016_04_04



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