今日は,対称操作マトリクスについてです.
対称操作マトリクスというのは,元になる基準面を目的の対称面に座標変換する,
すなわち対称操作を定義付けるマトリクスです.

結晶学のはなしでは,昨年の8月時点では,32晶族の説明の中心は
この対称操作マトリクスでしたが,善財さんから「さっぱりわからない」との
コメントが有り,ステレオ投影図に置き換えました.
(ステレオ投影図も,最初は「わからない」とのコメントでしたが,
投影図の作成過程を追加することで何とかクリアしました.)

なので,ここでは,どんだけ難しいかを・・・失礼,どんなお話かを
概略程度に説明します.以下,説明を開始します.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まず,対称心については以下になります.

|x´| |-1  0  0||x| |-x|
|y´|=| 0 -1  0||y|=|-y|
|z´| | 0  0 -1||z| |-z|

この座標変換は、結晶面上の任意の点について成立するので、
ミラー指数も同様にこのマトリクスで変換できます.

つぎに,対称面については,z面の場合は簡単で,以下のごとくです.

|x´| |1 0  0||x| | x|
|y´|=|0 1  0||y|=| y|
|z´| |0 0 -1||z| |-z|

同様に,y面,x面の場合は以下となります.(ここまでは超簡単)

|1  0 0|  |-1 0 0|
|0 -1 0|  | 0 1 0|
|0  0 1|  | 0 0 1|

対称面が斜め(対角線)の場合は計算過程が難しいので省略しますが,

|0 1 0|  | 0 -1 0|  |1 0 0|  |1  0  0|
|1 0 0|  |-1  0 0|  |0 0 1|  |0  0 -1|
|0 0 1|  | 0  0 1|  |0 1 0|  |0 -1  0|

などとなります.

最後に,対称軸ですが,以下の任意の単位ベクトル(Nx,Ny,Nz)まわりにΘ回転する
座標変換式を用います.

|x´| |NxNx(1-CosΘ) +CosΘ  NxNy(1-CosΘ) -NzSinΘ NzNx(1-CosΘ) +NySinΘ||x|
|y´|=|NxNy(1-CosΘ) +NzSinΘ NyNy(1-CosΘ) +CosΘ  NyNz(1-CosΘ) -NxSinΘ||y|
|z´| |NzNx(1-CosΘ) –NySinΘ NyNz(1-CosΘ) +NxSinΘ NzNz(1-CosΘ) +CosΘ ||z|

例えば,2回回転軸の場合は,対称操作マトリクスだけ抜き出して記述すると

(1/2)(1-Cos180) +Cos180  0・(1-Cos180) -(1/√2)Sin180 (1/2)(1-Cos180) +0・Sin180
0・(1-Cos180) +(1/2)Sin180 0・(1-Cos180) +Cos180    0・(1-Cos180) -(1/√2)Sin180
(1/2)(1-Cos180) –0・Sin180 0・(1-Cos180) +(1/√2)Sin180 (1/2)(1-Cos180) +Cos180

  (1/2)(2)-1 0・2-0  (1/2)(2)+0    0  0  1
= 0・2+0   0・2-1  0・2 -0  =  0 -1 0
  (1/2)(2)–0 0・2+0  (1/2)(2)-1    1  0  0

となります.こんな感じで,全部で48+16=64個のマトリクスが求まります.
以下にその1/4を示します.
対称操作マトリクス

面白いことに,すべてのマトリクスの要素が,0,1,-1になっています.
結晶成長シミュレーション・ソフトでは,これを使って任意の1つのミラー指数から,
対称面のミラー指数を生成しているのですが,以下の文献を参考にして組み込みました.

黒河清, 中牟田義博, 青木義和:対称性を考慮した結晶形態図の描画, 九大理研報( 地質) ,16
巻2 号 87-97,1990.

なお,この文献には,付録のプログラム中に直接的に対称操作マトリクスが埋め込まれていました.
しかし,このマトリクスをどう求めたのか書いてなかったので,論文の参考文献から辿り着いた
以下の文献のP815-816(付録)に表になったマトリクスを発見しました.

International Tables for Crystallography Vol.A ,2002.

なお,この文献は高価で,国立国会図書館に行って調べましたが,
これにもマトリクスの求め方が書いてありませんでした.

結局,1ヶ月以上かけて,自力で64個のマトリクスを導いたのですが・・・
前述の様に・・・ボツ・・・でした.

まあ,数式と表だらけになってしまって,鉱物の本には見えなくなってしまうので,
致し方ありません.


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